任意整理をすると会社に知られるか
1 任意整理は会社に知られにくい
借金があることは会社に知られたくないという方が多いかと思います。
借金を整理する方法の一つとして、任意整理があります。
任意整理は、裁判所を介さずに、各債権者と交渉し、返済計画を立て直す続きです。
この任意整理は、会社に知られる可能性は他の手続きに比べてかなり低く、知られにくいと言えます。
2 会社に知られにくい理由
⑴ 書類が不要
自己破産や個人再生といった裁判所を介する手続きを取る場合、退職金見込み額証明書など、会社に書類の発行を申請することが必要となります。
これに対し、任意整理の場合、裁判所を介さないため、書類の申請を会社にする必要がありません。
そのため、会社には知られにくいのです。
⑵ 官報に載らない
また、任意整理の場合、自己破産や個人再生と異なり、官報に掲載されることはありません。
そのため、公になることがなく、第三者に知られにくいのです。
⑶ 連絡先窓口が弁護士になる
仮に借入金の返済を滞っていると、債権者から会社に連絡が入ることがあります。
任意整理を行うと、連絡先窓口が弁護士になりますので、債権者から会社に連絡が入ることはなく、会社に借金の存在が知られにくいのです。
3 会社に知られてしまうリスク・ケース
上記のように、任意整理は会社に知られにくい手続きではありますが、絶対に知られないとは言い切れず、知られてしまうケースもあります。
⑴ クレジットカードの作成
任意整理を行うと、いわゆるブラックリストとなり、クレジットカード作成の際の審査が厳しくなるなど、クレジットカードの作成が制限されたりします。
会社によっては、社食の支払い等をクレジットカードにするなどして、クレジットカードの作成を求めるところもあります。
そのような場合、任意整理をしているとクレジットカードが作成できず、会社に知られてしまう可能性があります。
⑵ 給与振込口座
最近は少なくなりましたが、会社によっては給与振込先銀行を指定・限定しているところもあります。
例えば、A銀行と給与振込先銀行が指定されている場合に、A銀行から借入れをしているためA銀行を対象に任意整理したとします。
そうすると、A銀行の口座が凍結されてしまい、給与の振り込みができなくなってしまいます。
口座が凍結されたことをきっかけに、任意整理を知られてしまう可能性もあります。
⑶ 和解後に支払いを滞納
せっかく任意整理を行ったにもかかわらず、その後、返済が滞り、和解通りに支払いを行わなかった場合、債権者から会社に連絡が入ったりすることがあります。
また、訴訟提起され、それでも支払いをしなかった場合、給与の差押えがされることがあります。
このような場合、任意整理を知られてしまうことになってしまいます。